a thought
鴨川デルタという所があって、賀茂川と高野川が交わって鴨川になる。
賀茂川を上がれば今の家、高野川を上がればかつての職場、そして
鴨川を下れば木屋町がある。川沿いの道を僕は自転車を駆って行く。
そんな歲月を束ねる、ここは扇の要のような場所。
コーヒーを片手に、ふと思った。
ゆく川の流れの、果たしてどちらが過去で、どちらが未来なのか。
流れに乗って未だ見ぬ先へ、そして海へ…という方が一般的だろうか。
けれども、自分の未来は、源流の先の雫の中にあって、静かにその時を
待っている…その方が、僕にはしっくり来た。
空のカップをゴミ箱に放り込み、京阪電車に乗って仕事場へ行く。
(追記)
学生時代には、鴨川デルタを挟んで、洛中に同志社、洛外に京大という
別の構図があって、謂わば人界と魔界を隔てる場所でもあった。
まだバブルの記憶も新しかった頃には、魔界の子供達は折に触れ
「あっちに行く時は気をつけなさいよ。雪駄に短パンじゃダメよ」
などと諭されていた。