覚悟
宿題をする子供らも置いて早く寝たのに、変な時間に目が覚めてしまった。
何故だか打首にされることになり、その割に丁重な扱いを受けていた。
後始末の加減か、前日から絶食と説明があり、
先ほどの粗末な食事で最後だったと知る。
粗末であったことより、
これが最後と噛み締めることもなく済ませたことに
いくらかの心残りを感じたが、
波立つ程ではなかった。
何の儀式か前処理か、事前に刃をあて塩を刷り込まれる。
思いのほか痛くもないのだなと、妙に平静な所へ重ねて安堵する。
余命を比較的正確に知りながら過ごすというのは、
あまり一般的ではない経験なのかも知れないけれど、
もはやこれまでと悟った後はとても静かな時が流れる。
もちろん病状や、その他もろもろの状況によっては、
そうならないことも多いのかも知れない。
覚悟の上で死に臨む猶予さえ与えられない、
そんな人も多いのかも知れない。
小説でもない限り、死に直すことはできないけれど、
生きている限り、生き直すことは、いつだってできる。
でも本当は、二つは同じことなのかも知れない。
おやすみなさい。