反物質流

たんものしちながれ

既に書いたような気もするが、20年ほど前
南青山のNICOLEだったと思うのですが
僕は本当に場違いで、瀟洒なその店舗の
入り口さえ分からずにいたところを
店員さんが招き入れてくれたときの話。

胸元から視線を下ろしていったとき
どこにも引っかからずに爪先まで行く
そこから顔を上げて全身を見たときに
「あぁ、いいな」と。
そういうのを目指しています。

いつかその服の似合う人物になりたい

「お待ちしてます。」

そう言って送り出してくれた。

 

たしかジェフロアさんだったと思うのですが、
こんな話を聞いたことがある。

ドン・ペリニヨンの特徴を聞かれると
困ってしまうのです。
すべてがそうあるべきようにあること。
それがドン・ペリニヨンなのです。

稲盛和夫さんのお話にもこんなのがあった。

秘策なんていうものは、それさえわかれば
誰にでも真似できてしまう。そんなものは
強みとは言えない。
当たり前のことが当たり前にできている。
それが常に隅から隅まで整っている。
簡単なようで、真似できるものでない。
そういうのを強みというのです。

以前、天皇陛下サウジアラビア副皇太子殿下を
お迎えになった部屋のしつらえが話題になったが
あれもまさしくそういうことなのだろう。

そういうのは日本的な美意識だと思われがちだが
案外、突き詰めると誰しもそこへ行くのではないか。