アゲハ
子供たちが飼っていたアゲハの幼虫がそろそろ蛹になりそうで
ケースの中では羽が伸びないということで山椒の木に戻した。
ふと見ると、二匹のうちの一方はもう幹にじっとして動かない。
もう一方は尻尾の側をだらりとぶら下げていたかと思うと
糞をしたのに続けてかなりの量の液状のものを排出した。
そして意を決したかのように幹を降り、しばらく植木鉢の縁を
ウロウロし、故意か過失かポトリと落ちて、そのまま一直線に
駐車場を渡り、家の壁を上り、時々上体を大きく反らせて
何かを確認しながら行ったり来たりして、またポトリと落ちて
今度は塀の方へと一直線に進み、また上体を反らせ周囲を窺い
そうこうしているうちに植え込みにたどり着くと、何だか納得
したような風で周辺を確認すると、ポジションを決めてじっと
動かなくなった。
子供の頃から、なぜか蛹になるときは育った木を離れてどこか
違う場所に行くのは知っていた。どうやって行くのかは今回
初めて見た。なぜ行くのかは、相変わらず分からない。けど、
少し分かったような気がした。