反物質流

たんものしちながれ

1995年1月17日。20年前のあの日を思い浮かべていた。

ちょうど卒論の大詰めで、朝型に切り替えようと早く寝て、そろそろ起きようかと思っていたところだった。 比叡山の裾野に立つ鉄筋コンクリートのマンションは頑丈だったが、それでも経験したことのない揺れだった。天上と周囲を確認して布団に潜り、収まったところでガスの元栓を閉め、玄関のドアを開け、NHKのラジオをつけた。

「…ただいま大変強い揺れを観測しました。大阪では…」落ち着いた声にも只ならぬ緊張感がみなぎっていた。「神戸…神戸からはまだ連絡がありません。」

結局、昼頃まで布団でラジオを聞いていた。真っ先に心配したのは木屋町のキープボトルだったが、どうもそれどころではない様子。テレビも新聞も、もちろんネットも無く、被災地の映像を見たのは数日後のことだった。

夕方からは京都会館へ、友達の演奏会に行った。今調べたら指揮は佐渡裕さんだったらしい。マーラーの9番。メンバーも何名かが来られず開催を迷ったが、とのことだったが、素晴らしい演奏だった。募金箱には次々と高額紙幣が投げ込まれていた。

こんな僕でさえ、忘れられない一日。