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反物質流

たんものしちながれ

Appleのプレゼン質疑に学ぶ「言わずに伝える」英語力

遂に出ましたね。docomoもiPhoneも「元」ユーザの私としては、さしたる感慨もないのですが、何となくガラケーのまま粘っていた社用ケータイにも乗り換えの波が来て、ついでに社内システムに接続させろとか言われる皆さんの姿が目に浮かびます。

さて、docomoのiPhoneについては事前にスクープされ「またか」と言われる一方、ドコモのリリースが前回と違うと指摘する分析もありました。

本日、一部報道機関において、当社がアップル社の「iPhone」を発売する旨の報道がありましたが、当社が発表したものではございません。
また、現時点において、開示すべき決定した事実はございません。

http://www.nttdocomo.co.jp/smt/info/notice/page/130906_00_m.html

そう、これ否定してないんですね。お役所の文書などもっと微妙なので、この程度はむしろ「言わせるな」的な消極的肯定にしか見えないくらいです。リニア新幹線の中間駅デザインなんかも、図面が出てから話題になりましたが、以前からはっきり予告されてましたね。

こういう微妙な表現は日本特有だと思っている方も多いようですが、そんなことありません。外交でも日常的なビジネスでも当たり前にあります。Anglo-EU Translation Guideなんかはネタではありますが、それなりの場で会話するなら理解していないと結構イタいです。

かく言う私も、40代になっても相変わらずイタい部類で、職場で「やんわり断っといて」なんて言われては汗かいてますが、かつてはもっとイタかった。せっかくなのでAppleネタでひとつご紹介します。

 

かれこれ十数年前、iOSの元にもなっているMacOSが世に出たばかり、私がまだ「MacOSX/XServeで超クールなERPパッケージ開発するぞ」なんて半ば本気で考えていた20代の頃、Macworld Expo/Tokyoだったかと思いますが、Cocoa-Javaのお披露目に参加していました。MacOSXネイティヴなCocoaアプリの開発言語はObjective-Cというあまり一般的ではないものだったため、よりメジャーなJavaで書いてもCocoaに変換できますよ、というものです。

Apple本社の上級エンジニアだかの発表の後、質疑の時間があったのですが、誰も手を挙げないのでちょっと聞いてみました。

Cocoa-JavaObjective-Cと比べてどの程度の速さなの?

まあ、今思えばこんな意地悪な質問をハレの舞台でしなくたって良かったんでしょうが、その面でもけっこう期待してたのも事実です。実際、Objective-C書けるプログラマを集めるのは大変です。ところがその答えときたら… 

 (You should understand that) Java is not Cocoa. 

いや、わかってるって。JavaはCocoaじゃない。*1

自分の英語が通じなかったのか、あるいは体よくはぐらかされたのか…

 

いえいえ。それこそエンジニア同士だからこそという程の直截さでもって「ネイティヴ並の効率を期待すべきではない」と伝えてくれているわけです。もちろん公の場でその通りには言えませんが、下手にモニョモニョ技術的な説明や変調した数字を出すのに比べ、実に潔い回答です。

でまあ、実際にはOSXでERPなんて話もCocoa-Javaでの開発も立ち消えで、実行効率を測るのもそんなことがあったのもすっかり忘れていたのですが、ふとしたことで急に思い出して、ああ、あれちゃんと答えてくれてたのね、と思い出した次第です。

 (京都在住23年目)

 

*1:ちなみにJavaってもともとコーヒーのことで、これ書いててあー、だからCocoaだったの、なんて今頃になって気付きました。