反物質流

たんものしちながれ

残像の記憶

大掃除なのか引越しなのか、我孫子の生家を

皆で総ざらえしている夢を見た。

 

例によって、容赦なく廃棄されていく中から

僕はめぼしいものを拾い上げていく。

カーペットの切れ端、図工で使った手製の道具袋…

そして角や段差には、父が即興で細工をしていく。

 

5年前に他界した父は、たびたび夢に現れるが

最近はそこにいるだけで話をすることは稀だった。

そして今日は、姿をあらわすことはなく、ただ

そこに存在している気配だけだった。

 

途中失明した人の夢が、次第に映像を失っていく

そんな話を聞いたことがある。

同じようなことなのだろうか。